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日記:テレワークは当たり前!アメリカの企業に半年勤務してわかった彼らの仕事のやり方

今週はテレワークデイズですね!というわけで、アメリカに住んで半年となりますが、こちらでの仕事の仕方の実態をお伝えします。あくまで自分が経験したことを書くだけですので、これをアメリカ全体の話に一般化することは危険ですが、ほえー、こんな世界もあるのねーと日本企業の「働き方改革」のヒントになれば幸いです。

自己紹介

最初に、前提の知識として僕の勤めている会社の情報を少しご紹介しますね。

僕はアメリカのIT企業にエンジニアとして勤めています。日本企業と資本関係はありますが、独立したアメリカの企業です。

場所はボストン。ニューヨークやワシントンのある米国東海岸の街です。ハリウッド、LA、サンフランシスコ、シアトル、シリコンバレーは西海岸。西は荒野でカウボーイが街を守ってて銃大好きで、ハンバーガー食べながら仕事してるフリーダムなかんじですが、こっちは伝統と格式のある由緒正しい土地ってかんじ(ボストン市民の典型的なアメリカ感)。いわゆる既得権益層とエリート、「アイビーリーグ」の世界。風土も文化もだいぶ違います。京都っぽいと言えば伝わります? いやー、この中だと俺らアジア人なんて底辺ですわ…。

なので、シリコンバレーに赴任した人たちの感じるアメリカと、自分の感じるアメリカは結構違うのではないかと予想。ちなみに、西海岸と東海岸は飛行機で片道6時間もかかります。時差も4時間。国土がクッッッソでかい。

僕の見たアメリカ人の働き方

では、いきます。

国民の休日が少ない

はっきり言いますが、日本より国民の休日(National Holiday)は圧倒的に少ないです。日本が年間16日にあるのに対して、アメリカは多い企業で10日。うちの会社なんか数日。ふざけんな…!日本人は働きすぎだとか言い出した人は誰なんだろう…。土日つなげて4連休が関の山です。

でも有給休暇は多いんでしょ?

そんなことないです。確かに学校の夏休みは3カ月あるかもしれませんが、会社は普通に営業中です…。お盆?なにそれ? 休んでばっかりのイメージは、たぶんヨーロッパですね。よく「欧米」とひとくくりにしますけど、アメリカとヨーロッパはだいぶ違います。一緒にしないで! 一言でいうと、経営者が強いのがアメリカ。労働組合が強いのがヨーロッパ。
おっと、脱線しました。
休みが少ないアメリカですが、病気による休暇「Sick Leave」と有給休暇は別です。

バケーション中は仕事をしない

メールを出しても「〇月〇日までオフィスにいません」って自動返信メールが行くように設定して、基本的に仕事をしません。休むときはきっぱり休む。まわりも「あいつ今バケーションだからしょうがないな」で完結。

出社と退社は適当

うちの会社は1日8時間労働となっていますが、僕らエンジニアは時間に縛られていません。タイムカードのようなものも無し。適当な時間にきて、適当な時間に帰ります。ミーティングとか、何か予定があればそれに合わせて出社したりします。大学の研究室みたいなかんじ? VPNが整備されていて、PC持ち帰りもOK(暗号化済み)なので会社に来なくても仕事ができてしまいます

早く帰る!でもやることはやる!

17時をすぎると、「遅くまでいる」感が出てきて、18時になるとオフィスにはほぼ誰もいません。それはうちの会社だけでなく、どこもそう。道路も17時が一番混みます。18時台になるとだいぶ車が減ります。みんな当然のように「家族全員そろっての夕食」となります。

でも、平気で夜中にメールは飛んでいたりします。メールはPCと同じものが読めてスマホでも返信できますし。家で夕食食べた後に自室で仕事したりするんですね。自分がそのメールに返信することで、これから朝になる地域で滞っていた作業が1日進められたりしますから。

他にも、ヨーロッパやアジアと会議がある時は早朝や深夜に仕事をすることも。日曜だろうが。たくさんの仕事をこなすんだけど、そのための「場所」は必ずしもオフィスとは限りません

一方で、リーガル(法務)やファイナンス(財務)といった社内向けの仕事はきっちり定時に来て定時に帰ります。仕事内容に応じて勤務体系も違うってわけです。

会議は7割が電話会議

対面で会議をすることがあまりありません。ほとんどの会議の開催通知メールの「開催場所」の欄には、会議室の番号ではなく、多地点会議用の電話番号が書かれています。エンジニアの人もセールスの人も常に何かの案件があれば他の地域や海外に飛んでいたりして、誰が地球上のどこにいるかわからないからです。会社の机も仕切りがあってヘッドフォンやイヤフォンをして仕事をしていたりします。
また、こちらの車はBluetoothでハンズフリー通話がしやすいように、車のハンドルに通話ボタンがついていまして、車に乗りながら会議に参加してくる人とかもいます。これは高頻度で。酷い時にはスーパーのレジに並びながらとか(笑)。

その分、「会って話す」ことの価値は日本より高く、本当に必要な時はもちろん対面でやります。お金と時間を使ってわざわざ対面で合ったからには最大の成果を出せるよう濃密な時間を過ごします。

西海岸から東海岸に来るのに飛行機で6時間、時差が4時間もある国ですから、なるべく直接会わないでも仕事がまわるように効率化されている印象。これは会社vs会社の会議でも同じ。電話会議、すっげーよく使います。営業だけが客先に出向いて、他のメンバは電話越しなんてこともよくあります。プレゼン資料の投影は社内外問わずSkype for BusinessやWebEXなどの画面共有システムでやります。

会社に通えない場所に住んでる人がいる

これは目からうろこでした。オフィスから車で3時間以上かかる場所に住んでいる人がいるんです。家が遠すぎて通えない。その人が会社にくるのはどうしても対面の必要性があるときだけ。月に一回以下。

他にも、うちの会社は中小企業の割にお客様は世界中にいるので、マーケットが小さい国の営業は事務所が開設されていなかったりします。そういう場合の仕事場は家orお客様に訪問するかのどちらか。営業だからそれでいいんですね。

そもそも会議が少ない&短い

日本のように事前の根回しだとかが一切ないので、会議は一発。会議中もズバッと決まるので会議の時間が短いです。役職関係なく誰でもズバズバ発言して最大の効果を出す最短ルートを行きます。誰もメンツをまったく気にしません。3年目の子が役員にタメ口で鋭い質問をしたり、普通にします。部屋にいる他の誰も思いつかないような意見を口にすることこそが「価値」であり、参加する意味。

細かい意識合わせはチャットや雑談ベース

上記の会議だけだとコミュニケーションが不十分なところがあり、メンバー間での細かい「進め方」や「状況」の擦り合わせは日常会話の中で軽く行われます。すっごい気軽。遠隔の場合はSlackとかのチャットで。

お昼ご飯

11時半から14時くらいまでの間に、みな適当に取ります。カフェテリアで済ませることもあれば、車に乗って美味しいレストランまで足をのばすこともしばしば。日本のようにランチタイムが12時から13時と限定されていませんので、レストラン側も混雑が集中することはないようです。配膳も割とのんびりしてます。

金曜日はすっごい早く帰る

金曜日になるとみんなウキウキしていて、仕事が手につかないかんじです。朝の挨拶からすでに「Happy Friday!」なんて言ってたりして。お昼にレストランに行くと、平日に比べて明らかにビールを飲んでいる人が多いです。ランチなのに…! そして、みんな早く家に帰りだして、道路は15時くらいから混みます。はやっ!毎週プレミアムフライデーかよ!!レストランはどこも大賑わいになります。うちのチームでたまにある飲み会は、14時くらいにバーに行って、17時くらいに解散するかんじ。 そして、みな思い思いの週末を楽しみ、月曜日は「週末どうだった?」から会話が始まります。

クビ

仕事をだらだらやってたり、イヤイヤやってたりする人はいません。そういう人はクビです。さようなら!成果が出ていない人もクビです。クビは当日の朝に突然言い渡されたりします。「あなたはクビです。お帰りください。」IDもパスワードもメールも一瞬で無効になり、会社の情報にアクセスできず、連絡も取れなくなります。個人の荷物をまとめて去るのみ。

僕が赴任してからの半年で、上位クラスの人がけっこうクビになったりしています。彼らは給料がすっごい高いから、それに見合った成果を出し続けなければならないんです。それが出来ないとクビになってしまうこともある…と。給料と責任の重さは表裏一体。

ジョブディスクリプション

仕事の内容と給料を入社前に合意します。つまり、会社は「この仕事をこの金額でやってくれ!」と求人して、それに「おっけー!」として雇用契約が成立するというかんじ。会社と社員の間も対等な契約関係にあるイメージです。んで、その仕事内容を定義しているのが「ジョブディスクリプション」。ここに書いてある以外の仕事は依頼できません。その分の給料もらってない(払ってない)っスから。日本の「総合職」のようなジェネラリスト的な職種は無いです。

自分から辞める(追記)

逆に、自分から辞める人も日本より多いです。労働市場が流動的で、職が探しやすい環境にあるからだと思われます。クビなのか自分で辞めたかの見分けがなかなかつきにくいのですが、自分で辞めた場合は少なくとも退社の挨拶メールを出す場合が多いように思います。

感じていること

というわけで、ざざーっとアメリカの仕事事情を書いてみましたがいかがだったでしょうか?いやー、これで一人当たりのGDPが日本32,486ドル、アメリカ55,805ドル(IMF調べ2015年)なんですから、日本人は長時間会社にいて何やってんだろ?って思っちゃいますよね…。

こっちにいると、日本の同調意識の高さは異常だと感じています。「みんな同じようにこうしなければならない。」という思いを持ちすぎ。
「テレワークデイズ」とかいって政府が主導して、みんなが一斉にテレワークしだすのがいかにも日本らしい…。(あ、テレワークデイズをdisってるわけではないです。少しでも前に進めばよいなと思ってます)

仕事の内容によって最適な勤務の仕方があるはずなのに、今の日本はすべての人間に「定時」があり「残業」があるという概念から抜け出せていません。昼休みの5分前にお弁当を買いに行っただけでニュースになるなんておかしいよ…。怖い…。

定時と残業の考え方って、「工場」には合うんですよね。機械を一斉に動かしたり止めたり。製造業が花形だった高度経済成長期の日本ではこの考えが浸透しているのもわかる気がしますが、そろそろ「仕事の内容」とか「成果」を中心に勤務の形をそれぞれ変えていく必要があるのではないでしょうか。

保育園に迎えに行く人もいるし、介護してる人もいるし、通院しなきゃいけない人もいるし、工場で働く人もいるし、お店や窓口の店員もいるし、荷物を宅配する人もいるし、ソフトウェアを開発してる人もいるし…。いろんな人の事情と、いろんな仕事。それぞれに合った時間の使い方&働き方&評価の仕方があるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、「全員が同じでなければならない」という縛りから解き放たれるべきだと思います。

さて、次回はお金事情について書きたいと思います。アメリカのエンジニアって給料高いらしいじゃねえか!日本オワタ!!という話もちらほらありますが、その分生活も大変よ?っていう話。

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