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ドラクエ11はどうやって「井戸ルーラ」を廃止したのか?スクエニ開発者とUE4開発元のEpic Games担当者の対談!

ドラクエ11は超美麗な映像、大きなバグ無し、発売後のパッチ無し、画面のカクつき無しと技術面も非常に高い評価を獲得しました。これを支えたのは、世界的に有名なゲームエンジンである「Unreal Engine 4(UE4)」です。そのUE4の開発を行っているEpic Games社の担当者と、スクエニの開発者のディープな対談記事をご紹介します。
インタビュー前編
インタビュー後編

堀井雄二さんが語った有名な逸話として「井戸ルーラ」があります。ドラクエ伝統の魔法「ルーラ」はマップからマップへ瞬時にワープできる便利なものですが、ドラクエ11では開発当初、マップの読み込み時間が間に合わないため、ルーラの移動先をすべて井戸の底にして、プレイヤーがハシゴを上っている間に読み込みを完了させようという苦肉の策が考案されたのです。

スクエニ紙山氏:

堀井さんとの会議のときに、ロードがどうしても長いので、マップの出入り口になんらかのクランクを作らないといけないと。水平に作ってみるとすごく長い道になって、まあこんぐらいの長さになっちゃいますねみたいな話をしたときに、なんか『ドラクエ』っぽい感じでクランクを表現できないかねと。それで水平なクランクを縦にしようという話になった。

この「井戸ルーラ」を解消をはじめ様々なUE4の問題を解決するためにEpic Games社内にサポート体制が組まれたそうなのですが、米国、ヨーロッパ、日本のオフィスでの3極体制によって24時間常に世界のだれかが活動をしている状態を継続したそうです。

Epic篠山氏:

これがなかなか大変で、紙山さんと夜8時まで話したあとに本社のスタッフが起き始める。そこから本社とのやり取りが始まって、気づくと深夜2時や3時になっているなんてことも。だから忙しいときは、ほんとど寝ずにやっていることもありましたね。(中略)
出産時もずっと仕事をやっていて、妻にもかなり迷惑をかけたと思うんですが、妻はどんどんやれ、どんどん仕事に行ってこいと言ってくれました。

このように、ソニーからEpicに転職した篠山さんはドラクエ11サポートチームの最前線で活躍し、ご家庭との両立に苦労したそうです。その甲斐あって井戸はなくなり、マップとマップのつなぎ目にクランクは大幅短縮され今の快適なプレイが実現されたわけですね。

また、インタビューではほかにも、スクエニのヴィジュアルワークスチームが作ったドラクエ10のプリレンダムービーを画面クオリティの目標とした話や、UE4のツール群の使いどころ、発売後パッチなしでの開発について、品質管理チームとのやり取りなど興味深い話題が多数です!

一方、Epic側としても今回のドラクエへの対応を通してUE4自体をブラッシュアップできて、大いに収穫があった模様です。

篠山氏:
実際、Epic Games側もいろいろと叩いていただいたものを吸収して、最新バージョンに盛り込みましたね。ロードやカクつきに関して、『ドラクエXI』を題材にさせていただいてと。

河崎氏:
僕もいろんなライセンシーさんに「大丈夫です、『ドラクエXI』が通ったあとに綺麗な道ができますから、安心して走っていただけます」と言ってきましたが、まさにその通りに。我々からすると『ドラクエXI』の開発とともに、UE4におけるPS4への最適化が進んだという感覚です。

スクエニ作品ではキングダムハーツ3やFF7リメイクなど今後もUE4を使った作品が出てきますから、そこに対してもいいフィードバックがかかっていることを期待します。

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