全部、いいことだと思う。いいことだとしても、聞いて貰いたいこともあってね。
何というか、恐いというか苦しい気持ちがあって、今までヒットしなかった声優志望の皆さんがいて、アニソンの定義が広がって行って、日本のポップスを食っちゃうんだと思うわ。それ自体、いいことですよねって、応援できなくなってきていてね。
たとえば、初音ミクを、ＡＩで描いて、ポップチューンに蹴り返して、本当は「いやぁ、阿久悠さん以来の歌謡界が・・・」っていう文脈が壊れて行って、声優さんが歌っちゃうような気がするね。
「それじゃあ、私たちも骨太の詩を書いて」っていうと、既成の秩序が崩れる予感するということね。ゲームのルールが変わっちゃって、内部的にゲームチェンジャーだと盛り上がって、バブルになっちゃうとイヤだっていう面がある。
こっちは舞台の仕事もしてるんだよねってことで、安全弁を閉めるんであれば、声優の肩書きはカットしなきゃいけない。そこまで大きくなってきたんです。
「るろうに剣心」の実写版を撮るときに、本当の俳優さんが演じる殺陣だから面白いんであって、そこの所も、イヤ、声優さんがタフな方が多くて、主題歌も宇多田ヒカルさんなのでっていう論筋になると、決定的にミスキャストに陥ると思うのよ。
というのは、ポップスをレコード会社の戦略で、ということならスレスレＯＫだけど、今どきはユーチューブから這い上がるんですねっていうことになると、「所属事務所はどちらですか？」という問いが成立しなくなる。
ビジネス的に、完全な中抜きになっちゃうわけね。それは不味くない？という意味ですね。
スクエニという社会資本を通して、最低でも１枚は噛ましてほしいわけです。
色々、文句が多くて、すみませんね。

そのむかし、パーティ・グッズで、ヘリウムを吸い込んで、化学的に声を変えるボイスチェンジャーがありました。ディズニーのドナルドダックのような面白い声になるんですね。
ハイテク分野で「ボイステック」と呼ばれていた研究が普及して、音声検索だとか、ＡＩ音声でニュースを読み上げたりといったことが、日常になってきています。
本当は、世界のトレンドからは見れば、日進月歩なのに１５年～２０年遅れという感じです。
そこをターミナル戦略や電車のアナウンスに活用したり、回転寿司の吹き替えに声優を抜擢したり、レイアウトだとか写真も含めて、広告戦略に応用して、日本の敷居をひとつ繰り上げてみようと。
そうなりますと、声優さんの活躍の幅が、ぐぐっと広がり、パイが増えていきますので、お仕事を頑張って頂ければとお願いしたいと考えております。